人類は『ひなこのーと』キャラソンを聴け
人類がいま聴くべきアニソン(キャラクターソング)は何か。それは『ひなこのーと』のキャラクターソングだと思う。
配信もサブスクもない。なぜなら円盤特典だから。そんなことが許されるのか。
公式サイト(http://hinakonote.jp/products-bddvd.html)もなぜか3巻特典楽曲のタイトルを更新しないまま時が経っている。そんなことが許されるのか。
楽曲派の諸君、OP・EDを聴いて満足していないだろうか。いや確かに『ひなこのーと』はOPもEDも素晴らしい。
え、聴いたことない人がいるんですか。そんなことが許されるのか。
ではまず聴こう。これは配信もサブスクもある。
オープニングテーマ「あ・え・い・う・え・お・あお!!」
歌:劇団ひととせ
作詞・作曲:松浦勇気
編曲:睦月周平
アップルミュージック派じゃない人のために、YouTubeの試聴も貼っておく。
TVアニメ「ひなこのーと」オープニングテーマ「あ・え・い・う・え・お・あお!!」試聴動画
「あ・え・い・う・え・お・あお!!」は本当にスゴい。キミたち、「““大きく吸ってせーの””って『O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!』か?」とか言ってる場合ではない(気持ちはわかる)。
展開もギミックもとにかく凄まじい。ミュージカルのある意味逆で、劇の途中に歌があるのではなく、歌の途中に劇がある。作詞作曲の松浦勇気さんのアイデアも超絶的だし、この全部乗せ楽曲を聴きやすく何度も聴きたいような楽曲としてアレンジした睦月周平さんがスゴい。
「あ・え・い・う・え・お・あお!!」については、ウレぴあ総研、住吉STRANGERさんのレビュー記事(http://ure.pia.co.jp/articles/-/74724)を読めば、すべてが伝わると思うので、これ以上詳述はしない。
エンディングテーマ「かーてんこーる!!!!!」
歌:劇団ひととせ
作詞・作曲:宮原康平
編曲:久下真音
TVアニメ「ひなこのーと」エンディングテーマ「かーてんこーる!!!!!」試聴動画
「かーてんこーる!!!!!」も舞台らしい要素が詰め込まれた盛り盛りな楽曲。こんなカーテンコールある? めちゃくちゃポップで全然エンディングらしい大団円な感じではない。
いやイントロ部分からは大団円だと思っていたのだが、なんかもはやよく分からない。なんでもアリなプログレッシブな楽曲なので、まとめようがない。でも聴くとちゃんと全部まとまってるのだ。なんだそのパワーは。
歌詞のテンションも異常に高い。こんな作品だったっけ……(ちょっと怖い)。ハイテンションでパワフルなエンディングテーマにあえてひと言だけ言うと、最後の音はわざわざ外さなくてもよかったと思う。これは解釈分かれるのかな。
歌っている「劇団ひととせ」というのは登場キャラクターによるユニット名で、メンバーは以下の通り。
桜木ひな子(CV:M・A・O)
夏川くいな(CV:富田美憂)
柊真雪(CV:小倉唯)
萩野千秋(CV:東城日沙子)
中島ゆあ(CV:高野麻里佳)
黒柳ルリ子(CV:吉田有里)
え、嬉しくなっちゃうメンバー陣。
え、アニメを観たことがない。曲からハマるのもアリではないか。……曲を聴くためには円盤を買わねばならない。そこのハードルが難しい。
KADOKAWAの偉い人、検討してくれませんか。ホントにめちゃくちゃイイ曲がこれで聴かれないの、すごく勿体ない。
曲をオススメしたいのに、試聴もできない。いや、あくまで作品映像を買ってくれた人への「特典」として楽曲CDがついているというのは、理屈としては分かるのだが、音楽も作ってる人がいるわけで、クレジットすら出さないというのは音楽ファンとしては怒り心頭だったりする。
ところで、作詞、作曲、編曲の情報もきちんとまとまってるサイトが無い気がする(某アニソンデータベースサイトも情報が欠けている)。
というわけでそのへんをまとめつつ、楽曲の好きなところを少し書く。この記事を書いている人間は今人生最大の危機的なスケジュールと闘っている最中なのだが、気持ちが昂ぶってしまったので仕方ない。やりたいときにやる。
それではここかられっつごー。
・DVD&Blu-ray『ひなこのーと』第1巻特典
「Precious Memories」
歌:桜木ひな子(CV:M・A・O)
作詞:モリタコータ
作曲・編曲:原知也
座長らしく前向きでめちゃくちゃ牽引力のあるポップな曲。
最初にこの曲を聴いて(こんなハイレベルの楽曲が続くのか!?)と衝撃だった。この予想は裏切られるというか、どんどんスゴい曲が出てきてしまってレベルとかそういう話ではなくなってしまった。
ここから聴き始めた人、この曲のレベルが基準になると思ってほしい。
「テイスティング・ストーリー」
歌:夏川くいな(CV:富田美憂)
作詞:真崎エリカ
作曲・編曲:矢鴇つかさ
ごめん、まずこの曲、全部良すぎる。たぶん『ひなこのーと』のキャラソンでこの曲がいちばん好き。どこがイイのか、いや知らん。聴けばわかる。全部イイんだよ。
Arte Refactの矢鴇つかささん、本当にポップな楽曲が強すぎる。明るさも切なさもめくるめく。単純に自分の趣味嗜好にバチコーン!とハマってるドストライク楽曲っていう話ではあるんだけども。
それにしても詞の元ネタになる児童文学がわかるとハチャメチャにニッコニコになってしまう。自分も小中学生時代に読んだ本ばかりでわかる~~~以外の感情がない。内容をうまく歌詞にはめてしまうの、真崎さんスゴい。
ちなみにまとめておくと、歌詞の登場順にたぶんこの作品たち。
1番Aメロ
ミヒャエル・エンデ『モモ』
サンテグジュペリ『星の王子さま』
モンゴメリー『赤毛のアン』
ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』
1番Bメロ
ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』
夏目漱石『吾輩は猫である』
2番Aメロ
コナン・ドイル『シャーロック・ホームズ』
(アラブ諸国の昔話)『千夜一夜物語』
マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』
ウィリアム・シェイクスピア『夏の夜の夢』
ラスサビ前
グリム兄弟『赤ずきん』
赤毛の女の子に「がんば!」って声かけるの、めちゃくちゃカワイイね。あ、歌詞でどう歌われているかは自分で調べて理解(わか)ってほしい。
・DVD&Blu-ray『ひなこのーと』第2巻特典
「Sweet A La Mode」
歌:柊真雪(CV:小倉唯)
作詞:真崎エリカ
作曲:黒川陽介
編曲:黒川陽介・藤井亮太
ジャンル的にはなんだろう、ネオアコースティック、いわゆる渋谷系とは違う気がするんだけど、アップテンポめなオシャレポップ(?)
甘さ、軽やかさ、幸せ感。現代社会が失った“余裕”はこの曲に詰まっている。特別に語ることがないくらい「カワイイ……」の気持ちであふれる。たぶんこの曲の楽しみ方はこれで正解なんだと思う。
「ドラマチックデイズ」
歌:萩野千秋(CV:東城日沙子)
作詞・作曲:永塚健登
編曲:久下真音
穏やかでありながらも軽快な楽曲に乗せて聞こえてくるハスキーで囁きのような歌声が最高。
mk5のようなワクワクするイントロではじまり、Aメロでオシャレな顔を覗かせたと思ったら、Bメロでは一点和風な姿で登場からのボサノバなんかも挿みつつ、サビでまたオシャレでポップに転身。
歌詞から受け取るイメージと奏でられる曲想とがピッタリきて曲中になんども衣裳を替えているのが目に浮かぶ。作詞と作曲を両方同じ方(永塚健登さん)がやっているからなのか。それにしても、女の子の可愛さをバチバチに魅せてくれる曲って超イイよなあ。
・DVD&Blu-ray『ひなこのーと』第3巻特典
「ときめきゆあはーと!」
歌:中島ゆあ(CV:高野麻里佳)
作詞:真崎エリカ
作曲・編曲:ラムシーニ
この曲はアニカンで河瀬タツヤさんも紹介しているが(http://anican.jp/post-108049/)、とにかくスゴい要素てんこ盛りの電波ソング。キャラクターソングはこうじゃないと意味がない。
曲の構成もどんどん展開していくので、あっという間に中島ゆあワールドに飲まれる。有名な口上「外郎売」をラップで遊ぶあたりが演劇部らしい。2番のラップがどんどん高速化して早口言葉マシンガンで凝縮されたエネルギーがビックバンして宇宙が開闢する。
ラムシーニさんといえば、『政宗くんのリベンジ』BD/DVD6巻特典曲「笑顔deハダピュア!」(歌:安達垣愛姫(CV:大橋彩香)& 藤ノ宮寧子(CV:三森すずこ)、作詞:yuiko、作曲・編曲:ラムシーニ)もハチャメチャに最高な楽曲なのに、特典楽曲なので全然広めるチャンスがない。でもこれも人類みんな聴くべき。少なくとも自分は人類なので聴いてる。
「爛漫ロード」
歌:黒柳ルリ子(CV:吉田有里)
作詞:榎本真弓
作曲・編曲:大岡賢人
ラスト1曲、ジャズテイストの雰囲気がどことなく陰を感じさせつつ、ノスタルジックさも感じるオトナな楽曲。しかし、歌っているのは顧問の先生(小学生)。でも背伸びしてる感じじゃないんですよ、マジでオトナ。さすが天才子役。ほらほらこういうギャップをしれっとやってしまうのがアニソンの懐の深さですよ。いやあイイねえ。
実は作詞と作編曲の方、どちらも存じ上げなかったのだが、どちらも同人でも活動されている方のようである。作家さんたちの実績としても、やはり公式だったり情報まとめサイトはきちんと作家さんのクレジットは載せた方がいいと思うんだけどなあ。
いやまあとにかくめちゃくちゃ名曲揃いで、名曲揃いと明言しても全然ハードルが上がらないくらいイイので、なんとかして色んな人に聴いてもらいたい。